ドラジェ(Dragee)
フランスには様々な砂糖菓子がありますが、その中でもひと際エレガントで清楚な印象のドラジェ。
アーモンドを砂糖でコーティングしたこのシンプルなお菓子は、古くからお祝いの時に供されるお菓子として知られています。
「ドラジェ」の語源は、ローマ時代の菓子店「ユリウス・ドラガトゥス」にあり、既にこの時代にはドラジェのような砂糖菓子が存在していたようです。
現在のドラジェの起源は、中世にあります。
フランス北東部、ヴェルダンという町にいた薬剤師が薬を飲みやすくするために薬の周りを砂糖でコーティングしたのが始まりです。
その後、1750年頃、王室御用達の菓子店「ペケ」でアーモンドを砂糖でコーティングしたお菓子が生まれ、これが現在のドラジェになりました。
アーモンドの木が沢山の実をつけることから、それが多幸や多産、子孫繁栄などの象徴と見なされています。
ですから、ドラジェは祝いの場での贈り物としてまさにぴったりなのです。
フランス及びイタリアでは、チュールにドラジェを5粒包んで贈る習慣があります。
この5粒には、それぞれ「幸福」「健康」「子孫繁栄」「長寿」「富」の意味があり、最も一般的な組み合わせなのですが、厳密にドラジェを人に贈る際に何粒がいいという決まりはありません。
祝い事の席で美しいドラジェを贈るのは、日本ではとても粋なもてなしに見えます。