古代ローマ時代
古代ローマといえば、後にも先にもない大帝国で、ヨーロッパ各地にその遺構が残っています。
ローマ人はまた美食家でもあり、ギリシャから輸入した菓子文化をそっくりそのまま受け入れ、自分たちの生活の一部にしました。
紀元前30年頃には、ローマには既に300人以上の菓子職人がいたといわれています。
但し、洋菓子の元祖はパンにあり、古代ローマ時代もパン職人と菓子職人の明確な線引きはされておらず、それがされるようになったのは紀元後3世紀頃になってからのことです。
ローマ人たちは、製粉やパン・菓子作り、砂糖菓子作りをギリシャ人の職人に任せていました。
このことからも、ローマ人がギリシャ人の菓子職人を信頼し、彼らの味覚をそのまま受け継いだことが伺えます。
驚くことに、この時代のギリシャ人たちは既にビール酵母の知識を持っていて、それを使ってお菓子や料理を作っていたようです。
一方、現在「美食の国」として名を馳せるフランスには目立った菓子文化はありませんでした。
フランス人はイタリア人がナイフやフォークで食事をするようになった頃もまだ素手で食事をしており、極めて原始的な食文化を維持していたのです。
4世紀終わり頃、ローマ帝国が東西に分裂し、衰退期に入りました。
それと同時に菓子文化の発展も滞り、華やかな菓子文化が再び開花する中世まで、目立ったお菓子は生まれなくなりました。